前の記事で、糖質は身体のエネルギー源になる、という話をしました。
今日は糖質について、もう少し踏み込んだ話をしようと思います。
多くの方は糖質と聞くと砂糖をイメージするかもしれません。
もちろん、砂糖もその殆どが糖質です。
また、糖質=炭水化物という認識の方も多いと思いますし、その認識も間違いではありません。
糖質と炭水化物の違いですが、栄養表示基準によると、糖質に食物繊維が加わったものを炭水化物と呼ぶそうです。
ただ、日常的には、糖質もしくは炭水化物を多く含んだ食材や食品たちを、一括りに炭水化物と呼ぶことも多々あります。
なので、あまりここは深く考えずに、糖質=炭水化物という認識で話を進めます。
栄養学的な話をすると、糖質はその分子の数によって分類することが出来ます。
いくつかの分け方があるのですが、例えば、3つに分類するのであれば、
1.単糖類
2.小糖類
3.多糖類
の3つに分類できます。
いずれにせよ、これらは炭素(C)、水素(H)、酸素(O)から構成されていて、炭素(C)に水(H2O)が加わったものという意味で、炭水化物と呼ばれるようになったそうです。
それぞれの特徴ですが、単糖類は分子の数が少ないため、体内で分解されるのが早く、早いものだと数分程度。逆に、多糖類は分子の数が多いので、分解に数時間ほど要することもあります。
小糖類はその中間ですが、実際には単糖類に近い性質があるといったところです。
なので、エネルギーがすぐ必要な時には、単糖類を摂取すると最も良いということになります。
単糖類が多く含まれているものは、代表的なものだと、果物やハチミツです。
具体的には、果物やハチミツにはブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)といった単糖類が含まれています。
小糖類に分類されるものの代表は、砂糖です。
砂糖には、ショ糖(スクロース)が含まれていますが、このショ糖は先ほど話したブドウ糖と果糖が結合したものです。
あとは、オリゴ糖と呼ばれているものも、この小糖類に分類されます。
オリゴ糖には、ビフィズス菌などの善玉菌を増やす効果があると言われています。
オリゴ糖にもいろいろ種類があるのですが、納豆、味噌、醤油、みりんなどの発酵食品やハチミツ、てんさい糖にも含まれています。
そして、多糖類。多糖類の代表例は、お米などの穀物、いも類です。
穀物やいも類には、でんぷんと呼ばれる多糖類が含まれています。
多糖類というくらいなので、結合している分子の数が多く、ブドウ糖や果糖、ショ糖などに比べると、分解に時間を要します。
一応、糖質はこのように分類することができます。
やや専門的な話をしているのは、基本的な栄養学のロジックが理解することで、理想的な食生活に近づけると思っているからです。
例えば、トレーニングのパフォーマンスを上げたい時に、トレーニング前に何か食べるとしたら、多糖類よりもブドウ糖や果糖を多く含んだものを適量食べると良いです。
なので、運動前にバナナを食べたりするのは、とても良いことだとは思います。
また、受験など大事なテストの前に、チョコレートなどのショ糖が含まれたものを「適量なら」食べることも良いと言えるでしょう。
実際に、テスト前にショ糖を摂った者と、摂らなかったものでは、前者の方がテストの結果が良かったという研究結果もあります。
あとは、量の問題があります。
先ほど「適量なら」と書いたのにはしっかり意味があるのです。
例えば、テスト前にチョコレートを食べるのなら、その量はひとかけらでも効果はあります。
逆に、板チョコを丸ごと1枚食べてしまったら、約600kcalのカロリー摂取をしたことになってしまいます。
しかも、チョコレートの糖質、ショ糖は体内に吸収されやすい分、血糖値も一気に上がりますから、その上昇した血糖値を正常に戻すために身体に負担をかけてしまい、睡魔の原因にもなります。
その結果として、テストでも良い点数が取れなくなります。
だから、「適量なら」と言ったのです。
あと、ダイエットされている方、しようと思っている方に知って欲しいことがあるのですが、糖質が分解されやすいということは、それは多くの場合、「太りやすい」ということを意味します。
ここまでの知識で説明すると、多糖類よりも小糖類、小糖類よりも単糖類の方が、「太りやすい」糖質と言うこともできるのです。
ですから、お米よりも砂糖、砂糖よりも果物の方が「太りやすい」糖質と言えるのですが、実際にはそうはならない場合が多いです。
なぜなら、これも量に依存する部分があるからです。
例えば、ブドウ糖や果糖を自然な形で摂取しようと思うと、大量摂取ができません。
自然な形というのは、果物を加工せずに生でそのまま食べることです。
仮に、中くらいのリンゴを丸ごと1個食べたとしても、150キロカロリー程度です。
なので、りんごを4個も5個も一度に食べなければ、板チョコ1枚のカロリーには及びません。
そんなにたくさんリンゴを食べることはできないでしょ?
だから、自然な形で食べるのであれば、果物が太る原因だとは言い切れない。と僕は考えているし、食べたければ、積極的に食べていいと思っています。
ただし、自然な形ではないものはオススメできません。
市販されているジュースにはブドウ糖、果糖がたっぷり入っています。
例えば、ファンタという炭酸飲料(500ml)は約250キロカロリーあり、この時点でリンゴ1個のカロリーを上回っています。
またフルーツと違って、それらのジュースには、糖質の吸収を緩やかにしてくれる食物繊維が含まれてません。
だから、これだと、やはり「太りやすい」ということになってしまいます。
あと、果物はヘルシーだからと言って、小腹が空いた時にドライフルーツを食べている人もいますが、これもあまりオススメできません。
ドライフルーツに加工する際に砂糖を加えてある場合もあるし、仮に、砂糖不使用のピュアなドライフルーツだとしても、水分が無い分食べやすいから、結果として、量を食べてしまう。
だから、もしあなたが今よりも痩せたいと考えているのなら、ドライフルーツは食べない方が無難で、小腹が空いたら、本当に自然な形の生のフルーツを食べればいい。そういう話になります。
最近ではローカーボダイエットという糖質を制限するダイエットが流行っていますが、これに関しては話すと長くなるので、また別の機会にでもお話できたらと思っています。
では、今日はこのあたりで。