お肉のグレインフェッド、グラスフェッドとは

今日はお肉の選び方について話そうと思います。

多くの方は意識されていないと思いますが、お肉は大きく2つに分けることができます。

それは、グレインフェッド(grain-fed)とグラスフェッド(grass-fed)です。

初めて聞く概念かもしれませんが、今日はそのあたりを分かり易く解説したいと思います。

 

まず、それぞれの意味から。

グレイン(grain)とは穀物のことで、フェッド(fed)とはフィード(feed)の過去分詞です。

フィードとは「餌を与える」という意味です。

ですから、グレインフェッドの牛という使い方をした場合、それは「穀物を与えられて育った牛」ということです。

では、グラスフェッドとは何か?

グラス(grass)は草で、フェッドは先ほどと同様です。

なので、グラスフェッドの牛とは、「牧草を主に食べて育った牛」ということになります。

今回は牛の話をしましたが、豚や鶏も同じ考え方です。

 

それで、なぜこの2つの違いを問題にしているのかと言うと、グレインフェッドとグラスフェッドでは、その栄養価がだいぶ違うからです。

例えば、三大栄養素に注目すると、グレインフェッドの家畜はグラスフェッドに比べて、脂質が多いです。それに伴い、タンパク質が少ないという傾向があります。

これに関しては、家畜の食事とその運動量に注目していただけたら、ご納得いただけると思いますが、基本的にグレインフェッドの家畜はその一生の大部分を狭い畜舎で過ごします。

要するに、グレインフェッドの家畜は運動量が少ないのです。

また、その餌は高カロリーの穀物がメインですし、係の人が十分な量を与えてくれるので、どうしてもカロリー摂取過多になってしまいます。

そして、その結果、良くも悪くも肥満体になってしまう運命なのです。

 

一方、グラスフェッドの家畜は広々とした牧草地で育ちます。

餌は基本的に生えている草を自分で探して食べます。

ですから、グラスフェッドの家畜は餌を求めて動き回ります。

「牧草地には、草なんていくらでも生えているだろう?動く必要があるの?」

その疑問はごもっともですが、特に牛なんかは、食べる牧草の量が半端ではないので、やはり相当動いて草を食べ回らないと、十分なカロリーが摂取できないのです。

草は穀物に比べたら低カロリーですから。

というわけで、グラスフェッドの家畜は運動量が多く、結果的に脂質が少なく、タンパク質が多く含まれているのです。

 

ここまでの話で、「何となくグラスフェッドの方がヘルシーそうだなー。」と思った方も多いでしょうし、実際にその認識は間違いではありません。

現代人の食生活に問題があるとすれば、その1つはタンパク質の摂取不足、脂質の摂取過多ですから、そのバランスを是正するという意味で、グラスフェッドのお肉はヘルシーな食材ではあります。

ですが、話はここで終わりません。

というのも、このグレインフェッドとグラスフェッドの差は、タンパク質と脂質の比率だけではないからです。

例えば、グラスフェッドの家畜には脂質が全く含まれていないわけではなく、当然、肉の部位によってはちゃんと脂質は含まれています。

それで、ここで問題にしたいのは、脂質のクオリティについてです。

これは諸説あるのですが、ある一定数の健康志向の方は、家畜の肉は避けるべきだと言います。

それは「動物性の脂が体に良くないから」ということなのですが、これは一理あります。

ですが、巷でよく言われているような「飽和脂肪酸は常温では個体になるから、血がドロドロに・・」という話ではありません。

これについては、科学的な根拠が不十分ですし、むしろ飽和脂肪酸による健康効果も実証されているわけで、一概に「飽和脂肪酸=体に悪い」とは言えないものです。

いずれにしろ、本当の問題点はそこではありません。

 

では、一般的な家畜肉に含まれている脂質の本当の問題点は何なのか?

それは2つあるのですが、1つめはオメガ6脂肪酸が多過ぎることです。

多過ぎるというのは、オメガ3脂肪酸に対して、オメガ6脂肪酸が多過ぎるという意味です。

実際に食品成分表を見ていただけたら一目瞭然ですが、一般的な家畜肉はオメガ6脂肪酸の比率が高く、オメガ3との比率は1:20~50ほど。かなりの開きがあることが分かります。

というか、そもそもスーパーなどで売られているお肉には、オメガ3脂肪酸は殆ど含まれていません。

一般的に肉よりも魚の方がヘルシーと言われている理由の1つはこれです。

魚にはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれていますから。

魚と肉の栄養価的な違いについては、また別の機会に話せたらと思いますが、とにかく一般的な家畜肉はオメガ6が多く、オメガ3は殆ど含まれていない。ということをここでは押さえておいてください。

ちなみに、ここで言う「一般的な」家畜肉とは、グレインフェッドを指します。

スーパーで売られている国産のお肉の大部分は、グレインフェッドです。アメリカ産も然りです。

ですから、一般的に流通している肉の殆どはグレインフェッドだとお考え下さい。

 

そして、2つめの問題点ですが、グレインフェッドの家畜の脂肪には有害物質が蓄積されているということです。

どういうことかと言うと、グレインフェッドの家畜たちの餌は先述した通り、穀物なのですが、その穀物の残留農薬は脂溶性のものが多く、食べた者の脂肪に蓄積される傾向があるのです。

さらに、餌とは別の話ですが、グレインフェッドの家畜は畜舎内の感染病を防ぐために抗生物質が投与されることもあり、それらも脂肪に蓄積する可能性があります。

つまり、グレインフェッドの家畜は脂肪が多いだけではなく、そこに有害物質が蓄積されているリスクがあり、それも問題視されているのです。

 

ただ、ここであまりショックを受けないで欲しいのですが、今はあくまで一般的な家畜肉の話であって、当然、「一般的ではない」家畜肉もあります。

しかも、それらは絵に描いた餅ではなく、ちゃんと手に入れることができるものです。

例えば、これはスーパーによりますが、グラスフェッドのお肉もあることはあります。

健康志向を売りにしているお店であれば、グラスフェッドと明記されているお肉が売られていることもあります。

また、グラスフェッドの記載がない場合でも、オーストラリア産、ニュージーランド産の家畜肉の多くは、グラスフェッドだとお考え下さい。

厳密に言うと、それらはお肉になる少し前に、餌を穀物に切り替えて、あえて太らせるということもあります。

多少、脂があった方がお肉はやわらかく、味覚の面で売りやすいためです。

いずれのケースも、実物を見ていただけたら分かりますが、国産牛にくらべて、オーストラリア産、ニュージーランド産のお肉は赤身が多いです。

参考がてら写真を載せておきます。

これがニュージーランド産のすき焼き用の牛肉(グラスフェッド)になります。

こちらは、国産のすき焼き用の牛肉(グレインフェッド)です。

このように、グラスフェッドとグレインフェッドでは、脂質の量、そしてタンパク質の含有量が違うので、栄養バランスのことを考えると、グラスフェッドを選びましょう。そういう話になってきます。

グラスフェッドのお肉は、近所のスーパーで手に入らない場合でも、ネットを使えば必ず手に入るものなので、是非試していただけたらと思っています。

 

ただし、グラスフェッドのお肉にも問題点はあります。

それは、日本の小売業において、グラスフェッドはあまり一般的ではないということ。つまり、希少だし、エクスペンシブなことが多いのです。

特にこれはネットで入手することになると思いますが、「グラスフィニッシュ」と言って、最初から最後まで牧草だけを食べて育つ家畜肉もあります。

これらは、赤身が多く、限りなくヘルシーなお肉と言えますが、それなりにいいお値段ですし、流通量も少ないので、そもそも入手が困難です。

 

こうした問題点も考慮すると、本当にクオリティの高いお肉は、現実的にはあまりオススメできるものではないのです。

では、どうすれば良いのか?

もう少し現実的なアイデアをご紹介しようと思います。

まず、スーパーで売られているお肉を選ぶなら、「酪農大国のもの」を選ぶということです。

具体的には、オーストラリア、ニュージーランドあたりです。

チーズならオランダ産なんかもグラスフェッドです。

この条件なら、割と現実的で、例えば、牛のもも肉、サーロイン、ラム肉全般は、酪農大国原産のものが多いです。

あと、牛のひき肉なんかも、グラスフェッドである可能性が高いです。

 

もしかしたら、

「近所のスーパーにはオーストラリア産、ニュージーランド産のお肉はないのですが・・・」

という方もいらっしゃるかもしれません。

その場合、もちろんネットで買うという選択肢もありますが、リーズナブルな選択肢ではなくなります。

そこで、新たなアイデアをご紹介しようと思うのですが、それは脂肪の少ないお肉を選ぶということです。

要するに、問題なのは「家畜肉の脂質」なのですから、それらが少ないお肉を選びましょう。というシンプルな話です。

鶏胸肉、ささみはその代表でしょう。

それ以外でも、例えば、豚肉を買うのならバラ肉よりもロースを選ぶとか、牛肉でも赤身が多いお肉は一般的なスーパーでも普通に売っています。

なので、これらを積極的に選ぶというのも、良い考えだとは思います。

 

個人的には、全てのお肉をグラスフェッドにシフトする必要もないし、何が何でも脂質の少ないお肉を選ぶ必要もないと思っています。

「食の楽しみが限定されてしまう」というデメリットがあるためです。

そうは言っても、多くの人たちはグラスフェッドという選択肢があること、脂肪の少ないお肉も美味しいということを知りません。

それはとても勿体無いことだと思うので、こうしてこのサイトでお伝えしているわけです。

一般的なスーパーでも入手しやすい鶏の胸肉、ラム肉、赤身の牛肉あたりは、本当にオススメです。

ちゃんと料理すれば、美味しいですし、割とリーズナブルですから。

というわけで、これらを使ったレシピもご紹介していくので、ご参考にしていただけたらと思っています。

 

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