僕が考える健康法は、美味しく、健康的な料理を作ることがベースなので、基本的にはナチュラルフード主体の食生活を送ることになります。
ですが、加工食品を一切食べないわけではありません。
加工食品に頼るところは頼っています。全てを自分で作ろうとするのは、やはり大変ですから。
今回のテーマである「梅干し」も、その1つです。
梅干しは、太古から体に良いとされてきた、伝統的な健康食品です。
特に中国では食用というよりは、漢方として使われることが多く、紀元前200年頃には既に使われていたようです。
梅干しの効能はいくつもあるのですが、最もパワフルなのは「殺菌作用」でしょう。
日本でも戦国時代には、梅干しが傷の消毒に使われたり、戦場での食中毒、伝染病の予防に使われていました。
また、今でも海外に行く時は、食中毒防止のために梅干しを持参すると良い、という話はよく聞くことです。
ですが、ここで1つ問題なのは、最近スーパーなどに出回っている梅干しの大半は、「昔ながらの梅干し」ではない。ということです。
梅干しの健康効果は、先に触れた殺菌作用もさることながら、梅干しに含まれているリグナンに抗酸化作用があったり、クエン酸に疲労回復効果があったりと、本当にいろいろあります。
ただし、こうした健康効果が期待できるのは、昔ながらの製法で作られた梅干しであるケースが多いのです。
最近、主流の梅干しは、その加工方法も味も、そして栄養価も昔のものとはだいぶ違います。
実は、これには昨今の減塩ブームが強く影響しているのですが、市販の梅干しの多くは塩分濃度を下げるために、一度水に浸して塩分を抜く工程があります。塩抜きというやつです。
こうすることで確かに減塩にはなるのですが、減るのは塩分だけではなく、他の有効成分も水に溶け出てしまいます。
また、塩抜きの際に、梅干し独自の風味も水に逃げてしまいますから、そのままでは美味しいとは言えず、新たに酸味や甘み、美味しそうな色や香りが必要になります。
それらを改善するために、市販の梅干しには様々な食品添加物が入っているのです。
当然、個々の食品添加物が体に良くないという話もあるだろうし、何よりも、梅干の素晴らしい効能が薄れてしまうことは、とても勿体無いことだと思います。
結局、梅干しに関しては、減塩をとるか、梅干しの有効成分をとるか?という話になってくるのですが、僕は後者をオススメします。
もちろん、何らかの病気で塩分を減らすことを優先すべきケースもあるでしょう。
ですが、そうでないのなら、むやみに減塩すべきではありません。
というのも、最近の研究では、梅干しには高血圧化を抑える働きがあることが分かってきました。
このような研究がある限り、塩分の量と高血圧の相関関係があるとは言い切れないし、本当はないかもしれないのです。
そうは言っても、塩分の摂り過ぎは、身体に良いことだとは思いません。
実際に無添加の梅干しは、梅1キロに対して、塩は150~200gほど必要になってきます。
無添加の梅干しを初めて食べる人は、必ず「しょっぱい」と言いますが、それはごもっともなことです。
別に「しょっぱい=マズイ」という話ではないのですが、無添加の梅干しは基本的にしょっぱいものなのです。
ですが、しょっぱい梅干しはたくさん食べようとは思わないものです。
つまり、食べ過ぎの心配があまりないのです。
逆に、塩分が控えめだと必要以上に食べてしまう傾向があります。
その結果、身体に不要な添加物を過剰に取り込んでしまうリスクがあります。
このようなことを考えいると、「やはり、昔ながらの梅干しを選んだ方が良いなー」という結論になってしまうのです。