長らく料理番組を見ていると、定期的にヘルシー食材を使った料理の特集に遭遇します。
中でもヘルシー食材として登場頻度が多いものは、鶏の胸肉です。
「今日は、鶏の胸肉を使います。鶏胸肉はヘルシーですからねっ」
という感じで、料理を作り始めるわけですが、なぜヘルシーなのかをなぜ言わない?といつも思います。
今日はその答え、つまり、鶏胸肉がなぜヘルシーだと言い切きれるのか。
これについて、話していこうと思います。
「ヘルシー」とは何かという話は、別の記事(ヘルシーって何?)にも書きましたが、「現代人の栄養バランスの偏りを是正してくれる」という意味合いだと、僕は考えています。
それで、鶏胸肉は現代人の栄養バランスの偏りを是正してくれるものなのか?
答えは、イェスです。
まず、このグラフを見てください。
男性の年齢別、タンパク質の摂取量をグラフにしたものを引っ張ってきましたが、タンパク質の摂取量は年々、減少しています。
この傾向は女性も同じですが、要するに、日本人は慢性的にタンパク質が慢性的に不足しているのです。
この傾向は、肥満対策、ダイエットのために、摂取カロリーが全体的に下がっていることが、大きな要因と考えられています。
タンパク質とは、筋肉はもちろんのこと、髪の毛、内臓、皮膚、酵素やホルモンの材料であり、健康維持には欠かせない栄養素の1つです。
なので、粗食という食生活に限って言えば、また話は別なのですが、一般的な食生活を送っている方々は、タンパク質の必要量はしっかりと摂った方が良いのです。
タンパク質の具体的な摂取量は、人によってまちまちですが、例えば、僕であれば、30代の男性で割と運動量は多い方なので、100g弱は必要だなと考えています。
この数字を満たすのは結構大変です。
サーロインステーキ200g食べても、タンパク質は40gほどしか摂れませんから。
鶏胸肉も皮付きであれば、ほとんど変わらず、200gあたり40g弱です。
ちなみに、鯵も200g食べればですが、40gほどのタンパク質を摂ることができます。
いずれにしても、極端に脂身の多いお肉や魚でなければ、これらは貴重なタンパク質の摂取源になるわけです。
なので、お肉や魚などの動物性食材は、健康維持のためにも割と積極的に食べた方が良いと、僕は考えています。
さて、話を鶏の胸肉に戻しますが、鶏胸肉がなぜヘルシーと言われているのか?
巷の健康法では「鶏胸肉は脂身が少ないから」と言われることが多いし、確かにそういう一面はあるのですが、それ以上に鶏胸肉には「タンパク質が豊富に含まれていること」がヘルシーの根拠だと、僕は考えています。
というのも、脂質は脂溶性ビタミンの消化、吸収のことを考えると、一緒に摂った方が良い栄養素であり、ある程度、脂質は摂るべきなのです。
だから、脂質を敵視してしまうのは(例えば、胸肉の皮を剥ぎ、油を使わずに茹でて食べるのがヘルシーだと言うのは)、それはちょっと違うのかなと思います。
鶏胸肉に含まれている脂溶性ビタミンが効果的に摂取できなくなりますし、水溶性のビタミンは茹で汁に逃げてしまいますので、あまりオススメではないのです。
そうは言っても、僕も作る料理によっては胸肉も皮を剥ぐこともあります。
ですが、その場合、油と一緒に取るようには心がけています。
健康体をキープするためには、タンパク質だけ摂ればいいという話でもないからです。
さて、鶏胸肉がヘルシーな本当の理由にそろそろ迫ろうと思うのですが、それは「持続可能である」という点です。
どういうことかと言うと、例えば、タンパク質を摂ることだけが目的であれば、サーロインステーキでも鰹でも良いわけです。
ですが、それらは飛び上がるほどではないにしろ、毎日持続的に食べるにしては、ちょっとお高いです。
少なくとも一般的な感覚だと、そうなるのではないでしょうか。
ですが、鶏胸肉は非常にリーズナブルです。100gで100円しないくらいです。
もちろん「飽きる」という問題はありますから、毎日食べることもないですし、食べる必要もありません。
ですが、鶏の胸肉という食材があるおかげで、コンスタントに高タンパク質源を摂り続けることができるのは、確かなことです。
「タンパク質は摂りたい。でも、食費を抑えたい。」という時には、胸肉にお世話になればいいからです。
外食産業では、鶏はもも肉が幅を利かせていますが、胸肉もその特性を生かした料理を作れば、美味しくいただけるものです。
そのあたりのレシピも、公開していけたらなと思っています。