唐辛子はなぜ辛いのか?

唐辛子はなぜ辛いのか?

「辛味成分、カプサイシンが入っているから。」

もちろん、それはその通りなのですが、今日はもう少し本質的な話をしようと思います。

巷の健康ノウハウや料理本は、「なぜ?」に対する答えが不十分だなーといつも思うのですが、その答えは生物学や歴史に触れてみると、だいぶ明確になってきます。

生物学、歴史的な観点で言うと、唐辛子に限らず、多くの植物(動物もですが)は、「自分の子孫をどう残すか?」ということに強い関心があるようです。

少なくとも、客観的に見ているとそう思うことが多いのです。

 

例えば、基本的に僕ら人間が食べる野菜、果物が美味しいのは、人が品種改良などの手を加え続けてきたためです。

ですから、「果物が美味しいのは、それを動物に食べてもらって、その種を運んでもらうため」という説もあるわけですが、これは今の野菜や果物が美味しい理由とは、また別の話です。

ですが、もっと昔に遡ると、要するに人が品種改良などを行っていない時の話になると、野菜も果物も、それが他の動物に食べられる運命であるのは、その種を運んでもらうためであった。

こう考えると自然なことが多いです。

 

順を追って話すと、例えば、りんごの原種は僕らが知っているりんごに比べて、小さく、あまり甘くないし、ちょっと渋いです。

要するに、今の「美味しい」という感覚とは、かけ離れているものです。

それはなぜか?

りんごが子孫を残すためには、同じ場所ではなく、なるべく広範囲に種を蒔きたいわけです。

でも、りんごには足がついていないので自分では運べず、行動範囲の広い「鳥たち」に種を運んでもらうという手段を選んだのです。

 

ポイントは「鳥たち」という部分。それ以外の動物ではダメなのです。

地上で生息する他の動物たちは鳥に比べて、種を遠くに運んでくれません。

例えば、猿であれば果実を取ったら、その場ですぐ食べてしまいます。

また、猿は歯でりんごをしっかりと噛んで食べますから、果実と一緒にタネも砕かれてしまうリスクもあります。

それでは、りんごはその目的を果たすことができません。

では、鳥ならどうか?

鳥には翼があり、広範囲に移動します。

また、鳥には歯はなく、果実と一緒に種が食べられても、種は糞と一緒にほぼ無傷で出てきます。

これならりんごは目的を果たせます。

つまり、本来のりんごは、猿が食べるにしては、あまり美味しくなく、そして小さい。でも、鳥が食べるのにはちょうど良い大きさにデザインされていたのです。

 

話を唐辛子に戻しますが、唐辛子が辛いのは、その辛味成分によって、鳥以外の動物に食べられるのを防ぐためだという説が有力なのです。

実際に鳥類はカプサイシンに対する感受性が低く、哺乳類は感受性が高いことも分かっています。

要するに、鳥たちは唐辛子を食べてもあまり辛いとは思わないらしいのです。

鳥に「美味しい、不味い」という感覚があるのかは謎ですが、野生種の唐辛子は鳥たちだけに食べてもらいたいように進化してきたというわけです。

 

ちなみに、唐辛子はナス科の野菜で、ピーマンやパプリカも唐辛子と同じナス科の野菜です。もちろん、ナスも。

でも、これらの野菜が辛くない、むしろ甘みを感じるのは、人間が品種改良を重ねた結果です。

最近では、農薬を使った野菜、遺伝子組み換えの穀物などが、不自然だという理由で敵視されることが多いわけですが、実は今の野菜や果物も、その原型とはだいぶかけ離れています。

つまり、そもそも人間は野菜や果物に対して、不自然なことをしてきた歴史があるのです。

これを踏まえて健康法を考えると、世間で言われているほど、自然栽培や有機農法の野菜や果物が優れているのか?それはいろいろな意味で疑問なのです。

そもそも、自然栽培にしろ有機栽培にしろ、人為的な要素がかなり加わっているわけです。

にも関わらず、自然栽培やオーガニックが「自然に近いもの」で、農薬を使った野菜が「不自然なもの」として扱われていることには、とても違和感があります。

別に自然栽培、有機農法がダメという話ではありません。

スーパーで売られている、いわゆる慣行野菜たちだって、皆が言うほど悪くはないぞ!そういう話です。

これについては、話すと長くなるので、また別の機会にでも話せたらなと思っています。

 

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