ヘルシー(healthy)とは、直訳すると「健康的」という意味で、例えば、このように使われ方をします。
亜麻仁オイルはヘルシーな油。
鶏胸肉はヘルシー。
野菜たっぷりでヘルシー。
塩分控えめでヘルシー。
ヘルシーなお味。など。
これらはの使い方は、基本的には間違いではありません。
でも、多くの人は「ヘルシーの本当の意味」を理解していません。
試しに、誰かが「亜麻仁オイルはヘルシーな油」と言っていたら、「それは、なぜですか?」と聞いてみましょう。
多くの人は答えられません。
人によっては「オメガ3がたっぷり含まれているから」と言う人もいるでしょう。
そしたら、また「なぜ、オメガ3がたっぷりだとヘルシーなのですか?」と聞いてみましょう。
ここで多くの人が撃沈です。
健康法を語る人たちですら、そうなのですから、それを間に受けている人たちが正しい理解をしているはずがありません。
ヘルシーとは健康的という意味。それはたぶん、みんな知っています。
では、健康的とはどういう意味でしょうか?
「健康的とは、ヘルシー?」では、話は前に進まないわけで、今日は「健康的」とは何か?について、考察したいと思います。
まず、多くの人が誤解しているなと感じていることがあるのですが、「健康的」とは絶対的なものではありません。
ある食材、もしくは食品がヘルシーかどうかは、その「量」によります。(厳密に言うと質にもよりますが、今回は「質」の概念は考慮しないことにして)
例えば、亜麻仁オイルはヘルシーな油と言われているわけですが、亜麻仁オイルが全ての油の中で最も身体に良いという話ではありません。そこに優劣があるわけではないのです。
一般的に亜麻仁オイルがヘルシーと言われているのは、オメガ3脂肪酸を豊富に含むからです。
ですが、オメガ3脂肪酸だけをたくさん摂ればヘルシーというわけではありません。
オメガ3脂肪酸の理想的な摂取量は、30代の男性であれば2g程度と言われています。
ただし、この数値はオメガ6脂肪酸の摂取量によっても多少変わってきます。
細かい話は別の記事で話せたらと思いますが、早い話、オメガ3脂肪酸の理想的な摂取量は、オメガ6との摂取比率により決まり、その理想的な比率は、オメガ6:オメガ3=4:1と言われています。
そして、多くの現代人は、この摂取バランスが乱れていて、オメガ6:オメガ3=10~40:1とも言われています。
つまり、現代人の多くは、圧倒的なオメガ6脂肪酸過多、オメガ3脂肪酸不足状態なのです。
ですから、オメガ3脂肪酸を豊富に含む亜麻仁オイルを積極的に摂りましょう。という話は、間違いではないし、むしろ、そうすることは多くの場合、「健康的」だと言えます。
ですが、オメガ3脂肪酸の摂り過ぎが健康を害することもあります。
ここでオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸が体内でどのような働きをしているのか、簡単に話しておきますが、いずれも細胞膜の材料になります。
しかし、その性質は正反対で、例えばオメガ6脂肪酸は細胞膜を硬くするのに対し、オメガ3脂肪酸は細胞膜を柔らかくします。
そして重要なポイントは、この相反する性質があってこそ、健康な細胞壁が作られることです。
細胞膜は細胞内に酸素や栄養素を取り込んだり、老廃物を排出したり、有害な物質の侵入を防いだりしています。
ですから、例えばオメガ6脂肪酸の摂り過ぎが続くと、細胞膜が硬くなってしまい、酸素や栄養素、老廃物のやり取りに支障が出るかもしれません。
また、「亜麻仁オイル=ヘルシー」と盲信して、オメガ3ばかりを大量に摂っていたら、肌に張りがなくなるかもしれないし、細胞膜が脆くなって有害な物質の侵入を防ぐことができなくなるかもしれないのです。
そろそろ今日の話をまとめますが、僕が今日お伝えしたかったことは、巷で「ヘルシー」と言われているものの多くは、「適量を摂る」意味においては、結果的に身体に良いものだということ。
そして、本題の「ヘルシーとは何?」という話ですが、それは、
現代人の栄養バランスの偏りを是正すること。
そう僕は理解しています。
鶏胸肉がヘルシーだと言われているのも、鶏胸肉に含まれている栄養素が、現代人の栄養バランスの偏りを是正してくれるからです。
具体的に言うと、現代人の多くは、タンパク質が不足傾向です。
鶏胸肉はタンパク質を豊富に含み、脂質を殆ど含まないわけで、現代人の栄養のアンバランスを是正してくれるのです。
このようにヘルシーという言葉を、「栄養のアンバランスの是正」というワードに置き換えてみると良いと思います。その根拠を考えるようになるからです。
そして、この「根拠を考える」ということは、健康法を確立する上で、極めて重要なことだと僕は思うわけです。
そのあたりも追々話していけたらなと思いますが、ひとまず今日はこのあたりで。